戸籍は,日本で系図を調べる上で最も有用な資料の一つです。
戸籍は家族に関する様々な事柄 戸籍は日本独特のものです。従って,戸籍に記された家系をたどっていくと,自動的に先祖を明らかにすることができます。この戸籍は場合によっては,19世紀初頭までさかのぼることも可能です。
戸籍とは
そもそも戸籍とは、戸と呼ばれる家族集団単位で国民を登録する目的で作成される公文書です。ある日本人が出生してから死亡するまでの身分関係(出生、結婚、死亡、親族関係など)について、登録・公証することを目的としています。
戸籍の管理は政府が行なっているため,ほとんどの人は,出生,婚姻, 死亡などの身分行為に変更が生じた時に届出をしたり,身分証明のために謄本を請求したりする以外,戸 籍のことを考えないのが現状です。
しかしこの戸籍に蓄積された記録こそが家系図調査の情報の宝庫となります。続柄,養子縁組の関係,正確な姓名,出生および死亡年月日,婚姻関係や子孫についても,戸籍を調べることで明らかにすることができます。
戸籍についての理解を深める方法
戸籍を十分理解するためには,実際に戸籍謄本を取り寄せてみることが一番です。
そして,各種の戸籍から資料を集め,整理し,まとめて初めて,より深い理解が得られるようになります。
戸籍の歴史
近代の戸籍は突然に出来上がったものではなく,古代の土地の記録や宗教的な記録から発達して現在に 至ったものです。
家族に関する事項を記録する制度は,紀元6 世紀に中国で初めて用いられました。そして その後,その考え方が大化の改新(紀元645年)の時に日本に伝えられました。
この時すでに「戸籍」という言 葉が一般に用いられていましたが,日本で戸籍制度が制定されたのは9 世紀に入ってからになります。 また,17世紀になると,宗門帳や人別帳のように,人口を知るもととなる記録が全国で作成されるようになりました。そしてこれらの記録は,町村の寺院に属する檀家であることを示す身分証明書となりました。
さらに19世紀初頭に,宗門帳に代わって,戸籍帳と呼ばれる庶民の記録が,現在の山口県のある地域で使われ始めました。明治の有力な指導者の多くが長州藩の出身者であったことから,この記録が壬申戸籍 (1872一 86年)に影響を与えたことは間違いないようです。
1868年に徳川幕府が倒れた時,明治政府はその直接の 支配下にある地域で,記録を残すことを奨励した。その結果,いわゆる「京都戸籍」がひとつの試案とし て他の地域に広まりました。そして,1872年に近代の戸籍制度が制定されて,各地方の役所で記録が保管され るようになったのです。
戸籍の登録
日本では子供が生まれてから生後14日以内に出生届を役所に提出する必要があります。出生届については
手続対象者 | 父,母,同居者,出産に立ち会った医師・助産師等 |
提出時期 | 出生の日から14日以内(国外で出生したときは3か月以内。なお,国外で出生したときは,この期間内に出生届とともに,国籍留保届をしないと日本国籍を失う場合がある。) |
提出方法 | 届書を作成し,子の出生地・本籍地又は届出人の所在地の市役所,区役所又は町村役場に届け出 |
手数料 | なし |
添付書類・部数 | 出生証明書・1通 |
役所では出生届を受理すると戸籍に必要事項を記入し出生を公認します。そして本人が死亡するまでの記録が戸籍に記録されていきます。
除籍と除籍謄本
除籍とは戸籍に在籍していた人が、死亡、婚姻、離婚、転籍等の事由によりその戸籍から除かれることをいいます。 一戸籍内の全員が戸籍から除かれたとき、その戸籍を除かれた戸籍(除戸籍)といい、除戸籍は除籍謄抄本として証明発行されます。